2009年6月16日火曜日

在宅人工呼吸器 漏電による停電トラブルを経験して

今日は医療ネタです。

まるで抄録のようなタイトルですが・・・
最近当院が経験したこととなのですが、
全容が分かったこともあり啓蒙の意味合いも込めて
記載したいと思います。

夕方に私の携帯電話へ家族から電話連絡が入りました。
台所で蛇口をひねったらビリッと来て、今室内が停電しています。

頂いた電話の状況からして私への連絡が第1報でした。
私は診療所で第1報を受けました。
電話の向こうでは、呼吸器がバッテリー作動していることを表す
警報音が聞こえて来ました。

患者さんは気管切開下の人工呼吸器と酸素濃縮器を併用しています。
人工呼吸器には内部バッテリーがあり、内部バッテリー稼働時間
としては十分です。

始めに人工呼吸器はバッテリーで十分駆動することを説明。
もちろん家族は、バッテリーで動くことを知っていますが、
パニックにならない状況を電話で確認していくには1つ1つをこなして
行くことが大切です。
次にHOTから酸素ボンベへの接続。
この後に経皮酸素飽和度の確認をしてもらい。
一次安全ラインの確保完了!!

次にブレーカーの確認をしてもらいました。
「台所」「水道」「感電」から『漏電』のキーワード浮かびます。
それでも自分が現地にいないことから念の為に確認をしてもらいまいた。
やはりブレーカは落ちていない。
そこで家族から電力会社へ連絡を入れてもらい状況を話して
スタッフから来てもらうように話を入れてもらいました。

私が診療所から自宅まで向かう間に、一番最悪の事態を想定しての
段取りを開始しました。
それは、漏電の原因が分からなかった場合、一時入院をするという
段取りです。
これをするには医師の指示も必須ながら、受け入れ側の病院や
移動手段等も必要です。
私一人が短時間ではできません。
そこで訪問看護スタッフへ電話連絡を入れて事情を説明し協力を依頼。
訪問看護スタッフより快諾を頂きました。
訪問看護には病院や医師への連絡調整をお願いしました。
それとこのトラブルでの緊急入院を判断する時間制限も設けました。
時間が夕方だったことから遅くなると、色々な意味で大変です。
これで二次安全ラインの確保終了。

現着すると電力会社からは2名のスタッフが来ており、すでに漏電箇所の
検索を行っていました。

最終的には台所での漏電が発見され、無事に緊急入院をせずにすみました。

今回 在宅での漏電トラブルは初体験だったのですが、
これを気に当院の安全対策も再検討することになりました。
・緊急連絡先の一覧表に電力会社名を入れる

・トラブル対応時を想定して関連ファイルを一つにまとめる
 今でカルテや呼吸器ラウンド票、緊急時リストがバラバラだったのですが、
 1冊のファイルに統一することにしました。

・定期的なトラブル対処練習を組み入れる
 なかなか不定期でしか出来なかったトラブル対処を定期的にできるように
 予定を組むことにしました。

今回は幸い患者さんに影響は無くホッとしています。
いつ何が起きるか分からないことから事前準備と訓練は大切であることを
改めて実感したトラブルでした。

 




3 件のコメント:

  1. 演題に出せますね。2009年6月16日 9:08

    管理人さんの冷静な判断力、素晴らしいですね。
    普段から意識していないと、難しいですね。
    緊急連絡先に電力会社名を入れることなんて、考えたこともありませんでした。
    当院でも自宅外泊中に同様の事例があるかもしれないので、参考にさせていただきます。

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  2. 先ほどの投稿で、ニックネームの入力を間違えました。
    タイトルを読んだ直後の感想を書いちゃいました。

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  3. ��ぽっぽさん
    お褒めの言葉を頂きありがとうございます。
    在宅医療に携わるようになってから、
    色々予防策を考えるようになりました。
    が、さすがに漏電は想定外でした(^^;
    ライフラインが大切なことは理解している
    つもりだったのですが、今回の経験を元に
    もう少し安全対策を考えたいと思っています。

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