2026年10月12日

【実践記録】XのCE仲間に教えてもらった「Obsidian」へ、Bloggerの過去記事2,132本をPythonで完全移行した話

ブログを開設してから年月が経ち、気がつけば書き溜めてきた記事の総数は2,000本を突破。暇人か(笑)

これまでは「書いて公開する」ことで満足していた日々の気づきや臨床現場での試行錯誤ですが、これだけの量になると、「あの時書いたあの内容、どこだっけ?」と過去ログを探すのにも一苦労するようになっていました。既に記憶の彼方。

そんな折、X(旧Twitter)で親しくさせていただいている臨床工学技士(CE)仲間の方から「Obsidian」を教えていただいたのが、すべての始まりでした。

「せっかくなら、眠っている過去の全記事約2,000本を一気にObsidianへ流し込んで、自分専用の巨大なナレッジベース(第2の脳)を作ってみよう!」と思い立ち、Bloggerからのデータ移行に挑むことにしました。

しかし、いざ始めてみるとエラーの連続。何度も立ち止まりながら乗り越えた、リアルな奮闘の記録をAI要約でさくっとお届けします。


1. なぜ「Obsidian」だったのか?

CE仲間から勧められて調べてみると、ObsidianにはWeb上のブログサービスにはない魅力がたくさんありました。

  • 完全ローカル管理: すべてがプレーンなMarkdown(.md)ファイル。ネット環境に依存せず、サービス終了のリスクもゼロで手元に一生残る。
  • 強力な全文検索: 2,000本を超える過去記事から、医療機器の型番や症例のキーワードが一瞬でヒットする。
  • グラフビュー(Graph View)の存在: ノートやタグ同士がクモの巣や星空のように線で結ばれ、自分の思考の広がりを視覚的に俯瞰できる。

「これは過去の蓄積を活かせるかも!?」とおもい、早速着手しました。


2. ぶつかった壁:Bloggerの巨大バックアップデータ(Atom形式)

Bloggerの管理画面からエクスポートしたバックアップデータは、feed.atom という約9MBのXMLファイルでした。

約9MBなんてフロッピーディスク6枚分。私の10年以上のブログ記事はフロッピー6枚分かぁ。ここから記事だけを綺麗に抜き出し、Obsidianで扱えるMarkdownファイルに小分け変換するため、Pythonスクリプトを組んで処理を進めることにしました。しかし、慣れないPowerShellの操作も重なり、ここからトラブルが連発します。

トラブル①:コード枠の見出し(Plaintext)まで貼り付けてしまう

PowerShell上でスクリプトを実行しようとした際、画面に表示されていたコード種別ラベル(Plaintext など)までコマンドと一緒に貼り付けてしまい、画面が「用語が認識されません」と真っ赤に。
「どこからどこまでが実際のコマンドなのか」を慎重に見極める大切さを知りました。pythonやらないから、理解するまでに時間が・・・。

トラブル②:スクリプト先頭に余計な「Python」の1行が混入

「よし、実行だ」と意気込んで python convert.py を打つと、今度は NameError: name 'Python' is not defined というエラー。
メモ帳にスクリプトを貼り付けた際、一番上の行に「Python」という文字が紛れ込んでいたのが原因でした。メモ帳で開き、不要な文字を消して保存し直します。pythonやらないから、理解するまでに時間が・・・。

トラブル③:出力フォルダが「0件」で空っぽ

エラーなくスクリプトが最後まで走ったものの、画面には無情にも「合計 0 件の記事を出力しました」の文字。
Googleのバックアップデータは仕様上、XMLタグの名前空間や構造が特殊で、標準的な判定ルールでは記事としてうまく引っかかってくれませんでした。私の約2000記事が、0件って何を言っている!!

トラブル④:記事ではなく「コメント」だけが抽出されてしまう

抽出条件を緩めてみたところ、今度は過去にいただいた読者の方からの「コメント」ばかりがMarkdown化されてしまい、肝心の記事本文が入ってこない事態に。コメントだけのObsidianで私の第2の脳は何を導く!?


3. 解決策:実際のXML構造を直に分析してスクリプトを最適化

そこで、feed.atom の一部テキストを直接抜き出して構造を徹底解剖しました。

  • 本文記事には <blogger:type>POST</blogger:type> が付いている
  • コメントには <blogger:type>COMMENT</blogger:type> が付いている
  • 本文は <content type='html'> にHTMLで格納されている
  • カテゴリは <category term='医療:呼吸器関連'/> のように格納されている

この仕様に合わせ、Pythonスクリプト(BeautifulSoup + markdownify)を書き直しました。

  1. POST のエントリーのみを厳密に抽出(コメントは完全に除外)
  2. HTMLの改行や書式をきれいなMarkdown記法へ自動変換
  3. カテゴリ名を抽出し、Obsidian用のタグ(tags:)としてFrontmatterに自動埋め込み
  4. 日付(YYYY-MM-DD)+タイトルで安全なファイル名を生成

4. 実行結果:2,132件の記事が一瞬でMarkdown化!

修正したスクリプトを実行したところ、画面が進み――

見つかったエントリー総数: 3354
変換が完了しました! 合計 2132 件の記事(POST)を 'blogger_markdowns' に出力しました。

長年書き続けてきた全2,132本の記事が、日付・タイトル・タグ付きの個別Markdownファイルとして、一気にローカルフォルダへ生成されました!

出力されたフォルダをObsidianの保管庫(Vault)へそのままコピーし、取り込みは無事完了しました。


5. グラフビューを開いて息を呑んだ瞬間

取り込み後、Obsidianの「グラフビュー」を開き、設定の「タグ(Tags)」をONにしてみました。

それまで画面上で孤立してバラバラに散らばっていた無数の光の点(2,132本の記事たち)が、物理演算の力でフワッと動き出し、#医療:呼吸器関連 や日常の記録などのタグを中心に、美しい星雲(クラスタ)を形作ったのです。

「自分はこれまでの歳月、これだけの情熱を注ぎ、このテーマについて言葉を紡いできたんだ」という思考の軌跡が、目の前に立体的な形で立ち現れた瞬間でした。


まとめ:過去の記録が「生きた知のネットワーク」に変わる

デジタル上の過去ログは、放っておくとそのまま埋もれてしまいがちです。

しかし、こうしてオープンなMarkdown形式に変換し、Obsidianのようなリンク型ノートツールに流し込むことで、過去の臨床メモや考察が、これから書くコラムや学会発表のアイデアと有機的に結びつく「生きた資産」に生まれ変わりました。

素晴らしいツールを教えてくださったXのCE仲間に心から感謝です。

エラーに頭を抱えた時間も含めて、非常に実りある移行作業となりました。
今後は、業務マニュアルや過去の発表スライド、日々の気づきなどもこの中に集約し、自分だけの「第2の脳」を大切に育てていこうと思います。どんな風に育つのか(笑)


 このグラフビューだけを見ると、読者にはなんだか分からないと思いますが。記事1つ1つがこの点であることから、筆者の私は感慨深いです。

2026年10月11日

今さらですが「R8年診療報酬改定」を振り返る

【要約】R8年診療報酬改定のポイント

令和8年度(2026年度)診療報酬改定は、物価高騰と医療従事者の賃上げへの対応を主眼とした改定となりました。病院・診療所ともにベースアップ評価料の拡充等により人件費原資が手当てされた一方、物価対応分などの配分は病院重点となっており、診療所では業務効率化や医療DX・データ提出への対応が実質的な経営維持の鍵となる二極化が進んでいます。診療報酬の改定よりも、インフレのスピードが早いため多くの医療機関は支出が増加して「赤字」が増えています。

1. 医療機関の財務・経営面への影響

  • 賃上げ原資の手当てと使途の限定性:ベースアップ評価料の点数見直し等により医療従事者の処遇改善が進められたものの、算定増収分は職員の給与引き上げに充当する必要があるため、医療機関の純利益や内部留保として残る幅は限定的です。
  • 病院と診療所における改定効果の格差:物価高騰対応分や緊急対応分の配分比率が病院に手厚く配分されたため、小規模な無床診療所などでは光熱費・消耗品の高騰を吸収しきれず、収支管理の厳しさが続いています。当院は「有床診療所」ですが、「有床診療所」をサポートして欲しいです。

2. 外来・クリニック領域への影響

  • かかりつけ医機能とデータ提出要件の浸透:旧外来データ提出加算が見直され(充実管理加算等)、算定ハードルが調整されたことで、診療所にも外来医療データの提出や機能報告を前提とした運用が広がっています。
  • 生活習慣病・慢性期管理の厳格化:令和6年度改定で再編された生活習慣病管理料の枠組みが定着し、計画書作成や患者への療養指導、ICTを活用した継続的管理を行っているかどうかが再診関連の収益を左右しています。生活習慣病管理料のデータ提出は、電子カルテ性能と厚生労働省のデータベースの相性によります。提出した時点では、エラーが無いはずなのに・・・後からエラーがあってデータ提出加算を認めてもらえない・・・なんてことが。
  • 時間外対応体制の差別化:時間外対応体制への評価が引き上げられ、地域で夜間・時間外の電話対応や受診体制を整えているクリニックが評価される一方、対応体制を持たない機関との評価差が広がっています。

3. 入院・急性期・リハビリ領域への影響

  • 一般病床・急性期基準の適正化:重症度・医療・看護必要度の見直しに伴い、急性期一般入院料を維持するための患者受け入れ基準への対応が求められ、地域包括医療病棟等への転換や機能分化が進んでいます。
  • リハビリテーションと在宅復帰連携:病棟配置療法士の実績指数や退院支援、在宅医療への接続がより強く意識される設計となり、多職種連携と早期在宅移行の成否が病院の稼働率・収益に直結しています。

4. 医療DX推進と業務運用の変化

  • 設備投資と運用実績の重視:医療DX推進体制整備加算をはじめ、電子処方箋やマイナ保険証の利用率、電子カルテ情報共有サービスへの接続など、単なるシステム導入にとどまらず「実利用の実績」を満たすことが算定維持の要件となっています。
  • タスクシフト・シェアの加速:人手不足と生産性向上要請から、医師から看護師・薬剤師・臨床工学技士・事務員等へのタスクシフトや、ICTツールを活用した問診・会計の自動化が不可欠な経営課題となっています。どこまで「タスクシフト・シェア」されるのか・・・

【引用・参考元】
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の基本方針の概要」「改定率等について」
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理に関する意見」
  • PHC「前回診療報酬改定の振り返りと令和8年度診療報酬改定の行方」

2026年4月12日

若い医療職に「学術集会の意義」を うまく伝えるには

若い医療職に「学術集会の意義」をうまく伝えるには

臨床工学技士のための現場ノート

若い医療職に「学術集会の意義」を
うまく伝えるには

うちの地域の学術集会(学会)、一般演題が集まらない(´д`)さてどうしたものか。そんな時思いついたのが、このタイトル。このタイトルを思いついた時点で、十分オッサンなんですが。さて、学会と聞くとアレルギーと感じる方もいるかもしれません。「自分にはまだ早い」「難しそうで敷居が高い」——若手がそう感じやすい学術集会。でも、伝え方を変えるだけで、参加への意欲は大きく変わるかも。ここでは若手の心理に届く6つのポイントをまとめました。

1

抽象論ではなく"自分ごと化"できる具体例で伝える

若手は「学会=難しい・遠い世界」と感じやすい。"自分に関係ある"内容で伝えると理解が深まります。

  • 明日から使える臨床のコツが学べる。教科書に載ってない?コツを学べるはず。
  • 他院の工夫をそのまま持ち帰れる。私はコレが一番大きいと思います。
  • 同年代の発表が多く、初参加でも浮かない(たぶん)

2

「学会は特別な人の場」という誤解を壊す

若手が参加をためらう最大の理由は「自分にはまだ早い」という思い込み。以下を示すと心理的ハードルが下がります。

  • 初参加者が多いこと
  • 学生・1〜3年目の発表が普通にあること
  • 完璧な研究でなくても"日々の工夫"が価値になること

3

即効性のあるメリットを強調する

若手は長期的メリットより「すぐ役立つ学び」を求めています。

  • 人工呼吸器設定の実践的なコツ
  • 他院の運用・チェックリストをそのまま持ち帰れる
  • 先輩のスライド構成や説明の仕方を盗める(良い意味で)(悪い意味だったら反面教師)

4

人とのつながりがキャリアを変えることを伝える

医療職は"人"で仕事が広がります。学会参加は以下のようなキャリア形成につながります。

  • 相談できる仲間ができる
  • 共同研究や勉強会のきっかけになる
  • 将来の転職・連携先につながることもある

5

先輩自身の体験談が最も響く

若手は「リアルなストーリー」に強く反応します。自分の経験を素直に語ることが一番の説得力になります。

  • 初参加のときの不安。私も今でも覚えています。
  • 発表を通じて得た気づき。これは体験した人でないと伝わらないかも
  • 学会で出会った人が後に仕事のパートナーになった経験。お仕事は、ここで繋がります。
  • 委員会活動や地域連携につながった実例。マジで人手不足です。

若手に伝えるときの一言メッセージ

「学会は、あなたの臨床を一段上げてくれる場所です」
「発表は完璧でなくていい。日々の工夫こそ価値があります」