2026年2月2日

【CE向け金銭学】機械には強いけど「お金」には少し疎い私たちが、2026年の賃上げについて知っておくべきこと

昔から、私のブログを読んで頂いている人からすると、最近、タイトルが過激だなぁ~と思われるかもしれません。今時のAIブームにのり、AIと壁打ちしながらブログを作成しています。といはいえ、AIの作成したブログ内容をそのままコピーしないように気を付けています。今回はタイトルは、そのまま貼り付けました(笑)

本題です。
臨床工学技士(CE)の皆さん、普段「自分の給与がどう決まるか」を意識していますか? 「毎日必死にアラーム対応や点検をしていれば、給料は後からついてくるはず……」 そう思っているうちに、世の中の賃上げラッシュに取り残されてはいないでしょうか。昨年のニュースで見た世間のボーナスと医療業界のボーナスの解離にガッカリした人も多いのではないでしょうか。2026年(令和8年度)、国の診療報酬改定という形で、私たちの手元に届く「お金」のルールが大きく変わります。

1. 国が掲げた「3.2%」という具体的な数字

2026年度の診療報酬改定。最も注目すべきは、私たちメディカルスタッフに対する「+3.2%」のベースアップ(賃上げ)という目標値です。前回の改定(2024年度)でも賃上げの仕組みはありましたが、今回はさらにその上を行く、過去最大級の引き上げが計画されています。上げられない医療機関も出てくる可能性もありますが・・・。

2. 「ベースアップ評価料」って何?

病院やクリニックの経営には、電気代や材料費など様々なお金がかかります。通常、診療報酬で点数が上がっても、それがスタッフの給料に回るかどうかは経営者の判断次第でした。

しかし、この「ベースアップ評価料」は違います。(

  • 用途が限定されている: この点数で得た利益は、必ずスタッフの賃上げに充てなければならないという「紐付き」のルールがあります。

  • 私たちのための点数: 私たちが現場で働き、その対価として得た点数が、そのまま私たちの給料を支える原資になるのです。

     

3. なぜ「ベースアップ」が凄いのか

「1万円のボーナス」と「1万円のベースアップ」は、価値が全く違います。 ベースアップ(基本給の底上げ)が起きると、以下のような「連鎖反応」が起きるからです。

  • 残業代が上がる: 基本給を元に計算されるため、同じ時間働いても手取りが増えます。

  • 賞与(ボーナス)が増える: 「基本給の〇ヶ月分」という計算の「基本給」が底上げされます。

  • 将来の年金が増える: 納める社会保険料が増えることで、将来の安心も少しだけ厚くなります。

月給30万円の人なら、月々約9,600円のアップ。年収に換算すると(ボーナス等を含め)、15万円〜20万円近くの差が出る可能性があります。

4. 私たちがすべきこと

「お金の話は苦手だから」と目をそらさず、まずは自院がこの「ベースアップ評価料」を算定しているか、興味を持つことから始めてみませんか。

臨床工学技士という専門職が正当に評価され、安心して長く働き続けるために。今回の改定は、機械のメンテナンスと同じくらい、私たちの人生にとっても大切な「メンテナンス」の機会なのです。


引用元:

  • 厚生労働省:令和8年度診療報酬改定の基本方針(2025年12月決定)

  • 日本医師会:2026年度診療報酬改定に向けた提言


2026年1月30日

2026年改定の「光と影」3次医療圏の整理と臨床工学技士のゆくえ

 

はじめに:2026年、追い風の裏にあるもの

2026年度の診療報酬改定。私たち臨床工学技士(CE)にとっては、手術支援ロボットでの配置要件化や処遇改善など、一見すると「追い風」が吹いているように見えます。しかし、私のは、その評価の裏側に、国が描く「もう一つの冷徹なシナリオ」が透けて見えます。それは、「3次医療圏の解体と再編」です。クリニックに勤務している私が感じているくらいなので、総病院に勤務されているCEの方々の方が、現実を見ていると思います。

「集約化」という名のふるい

今回の改定で、ロボット手術に「常勤CEの配置」が義務付けられました。これはCEの価値を認めた結果ですが、裏を返せば「CEを常勤で雇えない、あるいは症例数の少ない病院は、高度医療から撤退しなさい」という通告でもあります。そもそもロボット手術は医療機関の支出が多いと分野と言われています。

高度な医療機器、そしてそれを扱う専門職を、限られた拠点に集める。これが国の狙う「選択と集中」です。人口が減り続ける日本において、すべての地域に同じレベルの3次救急を維持することは、もはや不可能だと国は判断していると思われます。

3次医療圏は「県」という枠を超える

現在、3次医療圏は原則として「都道府県」単位で設定されています。しかし、厚生労働省の検討会資料(新たな地域医療構想に関するまとめR6年12月18日)を読み解くと、その境界線を変更する話題がでています。
人口減少が著しい地域では、隣接する県同士を統合した「広域医療圏」への再編が、水面下で議論されています。

  • 高度急性期病院の拠点化: 数十万人の人口に対して1箇所に集約。

  • 県境の無効化: 患者の流動に合わせ、行政の枠を超えた効率的な配置。

県境を接する医療圏にお住まいの皆様は、すでにその予兆を感じているのではないでしょうか。病院の統合や、特定の診療科の集約は、決して他人事ではありません。


私たち臨床工学技士に何が起きるか

あまり考えたくない話なのですが、医療圏が整理されるということは、私たちの働き方も二極化することを意味します。以下に記載する二極化は私が勝手に名付けた名称です。

  1. 拠点病院のスペシャリスト: ECMOやロボット手術、ICU管理を極める「高度急性期」の担い手。

  2. 地域のネットワークマネージャー: 拠点から離れた場所で、在宅酸素(HOT)や人工呼吸(HMV)、遠隔モニタリングを駆使して患者さんの「日常」を守る担い手。

どちらが欠けても、地域の医療は成り立ちません。しかし、これまでのような「なんとなく急性期」という中途半端な立ち位置は、今後ますます維持しづらくなるでしょう。

おわりに:時代を読む「眼」を持つ

制度が変わる時、私たちはつい「点数がいくら上がったか」に目を奪われがちです。しかし、大切なのは「なぜ国はその点数を付けたのか」を考えることです。

3次医療圏の整理は、加速こそすれ、止まることはありません。 私たち臨床工学技士は、機械のメンテナンスだけでなく、自分たちの「立ち位置」のメンテナンスも、今から始めておく必要があるのではないでしょうか。

2026年1月29日

在宅人工呼吸療法:停電から命を守る「ポータブル電源」の補助金制度——2019年の転換点と手続きのポイント

 

はじめに:災害への備え、電源は「自己責任」から「公的支援」へ

在宅で人工呼吸器や吸引器を使用されている方にとって、停電は単なる「不便」ではなく、命に関わる緊急事態です。かつて、これらのバックアップ電源は「医療機器の付属品」や「個人の備え」として扱われ、公的な補助を受けるのが非常に難しい時期がありました。しかし、相次ぐ大規模災害を経て、その常識は大きく変わりました。今回は、意外と知られていない「ポータブル電源」の補助金制度について解説します。

1. 2019年、制度を動かした厚生労働省の通知

大きな転換点となったのは、2019年(平成31年)3月29日の厚生労働省通知(障障発0329第5号)です。この通知により、障害者総合支援法に基づく「日常生活用具給付等事業」の対象として、以下の品目を追加可能であることが全国の自治体に示されました。

  • 蓄電池(ポータブル電源)

  • 発電機

  • DC/ACインバータ

東日本大震災や、北海道でのブラックアウト(全域停電)の際、電源を失った在宅患者さんの命が危険にさらされた教訓が、ようやく制度に反映されたのです。

2. 補助制度の仕組みと対象者

この制度は、市区町村が主体となる「地域生活支援事業」の一部です。

  • 対象となる方: 一般的に、在宅で人工呼吸器や吸引器を継続して使用しており、避難行動に支援が必要な身体障害者(児)が対象です。

  • 補助の範囲: 自治体ごとに「基準額」が設定されており、その範囲内で購入費用の9割(原則)が補助されます。

    • 例:基準額 100,000円の場合、自己負担 10,000円で導入可能。

3. 申請に必要なものと「自治体による差」

申請には、主に以下の書類が必要となります。

  1. 申請書(市区町村の窓口で入手)

  2. 医師の意見書・理由書: 「なぜこの患者に非常用電源が必要なのか」を主治医等に証明してもらう書類です。

  3. 製品の見積書: 検討している製品のスペックがわかるもの。

ここで注意が必要なのは、「自治体によってルールが異なる」という点です。

  • 「ガソリンを使う発電機は火災の危険があるため不可、ポータブル電源のみ」とする自治体。

  • 基準額が5万円のところもあれば、10万円を超えるところもある。

  • 所得制限の有無。

まずは、お住まいの自治体の「障害福祉課」などの窓口で、「日常生活用具としてポータブル電源の給付があるか」を確認することが第一歩です。

 

4. 臨床工学技士からみた「電源選び」のアドバイス

補助金が出るからといって、どんな電源でも良いわけではありません。医療機器を繋ぐ場合、以下のスペックは必須です。

  • 「正弦波(せいげんは)」出力であること: 家庭用のコンセントと同じ安定した波形でないと、精密な医療機器は故障や誤作動を起こす可能性があります。

  • 容量の計算: 呼吸器の消費電力を 、必要な時間を とすると、 以上の容量が必要です。余裕を持って、使用時間の2倍程度の容量を検討することをお勧めします。とはいえ、長時間の作動を考えると、大型になり重量も重くなり、高額になります。重くなると持ち運びが困難になることから、「容量」と「重量」の検討には注意が必要です。

おわりに

災害はいつ起こるかわかりません。2019年の通知以降、この制度を導入する自治体は急速に増えています。「うちは対象になるのかな?」と迷われたら、まずはケアマネジャーさんや、あるいは自治体の窓口へ相談してみてください。命を守るための準備に、「早すぎる」ということはありません。


引用・参照元:

  • 厚生労働省:日常生活用具給付等事業の実施について(平成31年3月29日通知)

  • 障害者総合支援法 第77条(地域生活支援事業)