2012年11月13日火曜日

慢性呼吸不全の終末期ケアへの覚悟

医療ネタです。


以前も「慢性呼吸不全の終末期ケア」について記載しのですが、痛感している事例があります。(以前 記載した慢性呼吸不全の終末期ケア 記事はこちら

患者さんはCOPD+心疾患。もう数年前に在宅酸素療法を開始しており、当院の往診が始まったのは1年くらい前から。当院に紹介を頂いた際には、NPPVを導入した直後だったらしく、アラームが頻繁に発生して、しかもNPPVを装着しても苦しさが取れないとのことから、未使用の状態でした。

訪問看護ステーションのスタッフと連携を取りながら、NPPVの必要性説明から始まり、設定調整。もちろん、医師による訪問診療と内服薬の調整。日中の酸素療法、夜間のNPPV+酸素療法が安定してくると、それまでは数か月に1度の増悪から緊急入院していましたが、ここ半年以上は緊急入院がなく、状態が安定。

肺と心臓の状態からすると、とても安定した状態が続いていました。
先日 SpO2と血圧の低下で入院。

ここからが医療者側の葛藤でした。ご家族側も多くの葛藤があったと思います。

入院加療でどこまで回復できるか?
在宅へ戻ったら、どこまで診ることができるか?
本人は自宅へ帰りたいと思ってるか?
家族はどう思っているのか?

本人の意向は自宅へ戻りたい。
家族の受け入れも大丈夫。
この「受け入れ」の中には、帰宅後 状態の変化によっては再入院の選択。場合によっては、自宅で看取ることも選択肢になります。

本人、家族の希望が確認されれば、在宅の医療者側の対応の確認です。
Bossと訪問看護管理者の方で直接電話相談。
受け入れ態勢の確認。

日曜日に退院。

月曜日にご自宅でお亡くなりになりました。


もし退院しなければ、回復が見込めたのか。
自宅で亡くなることに対して、ご家族の心的負担は無かったのか。
そもそも 増悪時に入院しないという選択肢があったのか。

慢性呼吸不全の終末期ケアについて、私たちは万能な解決方法を有していません。

患者さんの亡くなられたお顔はとても優しく
家族に見守られる中で亡くなりました。




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