2010年12月9日木曜日

私見 在宅人工呼吸器の内蔵バッテリー駆動について

以下 私見として記載させて頂きます。
私はメーカが謳う人工呼吸器のバッテリー駆動時間を
信じていません(^^; あくまでも「目安」だと思っています。
それは使用する環境により大きくことなるからです。

室温が低く、1回換気量が大きい場合にはバッテリー
駆動時間は低下します。
どの程度短くなるかは分かりません。
またバッテリーへの再充電を繰り返すことで
バッテリーの「性能」の劣化も考えれます。

臨床工学技士の立場からして在宅人工呼吸器が有する
内蔵バッテリーの位置づけは「停電時」の電力の確保と
考えています。
バッテリーでの長時間駆動が可能になった機種が
増えてきた中で、室内での移動や外出時の優位性を
謳うこともありますが、主目的は「停電時」の電力の確保だと
考えています。
このように記載すると長時間バッテリーがQOLの向上に貢献して
いることを否定していると思われるかもしれません。

外出時のバッテリー使用の際は途中でバッテリートラブルが
生じたことを想定して必ずバック・バルブ・マスク(アンビューバック等)を
準備して下さい。



と、記載したところで、 このブログ 先日 HN:はなさんから
コメントを頂いたことから記載しました。

私は最近 電源トラブルに対して以下の対応表を使っています。
画像


停電の原因は災害だけでなく、台風、雷雨、降雪・・・
もしかすると近くの変電所の漏電、近所の交通事故で電柱が折れた・・・
色々なことが想定されます。
それらに対応できるように ↑のような対応表を家族や訪問看護と
共有しています。
対応表は患者さんの介護背景によって変わってきます。

ちょっと表の解説をすると
停電原因の確認作業をしてもらった後に
「長時間予備電源があり」と記載しています。
この長時間予備電源は、外部バッテリーだったり、発電機、
車からのシガーソケットだったりします。

復旧の時間が分かれば良いのですが、災害・台風による被害では
復旧時間が分かりません。
復旧時間が分からないケースは、全て「医療機関への移動」に
してあります。

バッテリーの駆動時間は「待機時間」で関連するように
記載してあります。
もし、アチーバで内蔵バッテリー4時間、外部バッテリー20時間とすると
最大駆動時間は計算上、24時間です。(1日)
でも、1日で停電が復旧しなかったら・・・・。
バッテリー駆動時間22時間くらいで移動の準備を始めても遅いのです。
そのため、大げさですが待機時間は最大稼働時間の半分にしてあります。
アチーバで想定すると場合、12時間です。


さらにもう一つ。
「停電」≠「呼吸器の故障」 
停電と呼吸器の故障は全く別問題です。
そのため、バック・バルブ・マスクが使えるということは、
絶対に必要になります。


おまけにもう1つ。
気管切開下陽圧人工呼吸療法(TPPV)にて自宅療養をされている
方にとって、非常電源の問題は非常に重要です。
生死に関係する問題になります。
現在 TPPVで外部バッテリーの使用に保険点数は付きません。
その為、患者さん個人がメーカとレンタル契約 又は購入している
ケースがほとんどだと思います。
万が一のトラブルに備えて、2台目の人工呼吸器の貸出し・・・
この課題もクリアされていません。

今年の春 学会で上記問題に関して、メーカ側の話を伺うことが
できました。
現在の診療報酬の中では現在のシステム(方法)で
精一杯とのことです。




6 件のコメント:

  1. 私も私見ですが、バック・バルブ・マスクが使えるということは、絶対に必要だと感じています。安価な物だと8千円程度から入手可能です。これは主治医に相談して、使いこなせるように練習をしたほうが良いです。選ぶ時のポイントは、押しやすい素材です。数分間押しても疲れが少ない柔らかな素材が望ましいです。シリコン製の最高に押し易い物だと3万円以上しますが、ご家庭でお使いになるなら、こんなに高価な物は必要ありません。
    練習は可能なら病院や医院などの施設で、スパイロメーターやハロースケールを接続して、バッグの中央を目一杯押すと何ml送気できるかを知り(個人差が有る為)、バッグの下部なら何ml、どの位置を押すと適正な送気が出来るかを知ることです。押す指の本数で送気を調整する方法もありますが、これだと指が疲れ易く、スグに引きつってしまいます。
    押すタイミングや早さは、接続せずにバッグだけの空押しで、人工呼吸器の音に合わせて練習します。もっと強くとか早くという合図を決めておいて、実際に行うときに可能なら微調整をします。
    アチーバは、特注でシガーライターケーブルが発売されていましたが、現在も入手可能かについて確認できませんでした。これは、自家用車のライターから電源を供給する方法です。ただし、車内に搬送し、車のエンジンを掛けないと使用できません。やはり、バック・バルブ・マスクが、第一選択ですね。できれば、複数の方が交代でバッグを押せる環境を早急に構築することが望ましいと思います。はなさんが練習をして、他の方にもご指導できることが一番安全の確保になると思います。
    道端で倒れた方へのAEDと同じ位に、『人工呼吸器使用者にはバック・バルブ・マスク!』ということが今後普及すると良いですね。

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  2. 自分で書き込んだ内容を読み返して、誤解を招く部分がありましたので、修正させてください。
    シガーライターケーブルは、車のエンジンを掛けなくても使えますが、人工呼吸器の消費量が多すぎて、電源が安定しないのと、車のバッテリーがあがってしまうため、ある程度のエンジン回転数は必要です。あるケースでは、軽自動車の小さなバッテリーでは、人工呼吸器が正常作動しなかったこともあるようです(別の機種ですが)。確かアチーバは、24Vだったような気がします(違ったらゴメンなさい)。
    あ! これら全部が私見です。もし、訂正箇所がありましたら、どなたでも結構ですので、修正をお願い致します。

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  3. 色々と有難うございました。
    先ずはアンビューを使えるようにします。
    介護保険にも限度があり
    一人で介護を担っています。
    毎日が不安です。
    有難うございました。

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  4. はなさんへ
    アンビューは慣れると、ある意味ではどんな機械(人工呼吸器)より信頼できます。最初は不安だと思いますが、大丈夫ですよ。実践あるのみですから自信を持って練習して下さい。
    余計な事かもしれませんが、1人で全てを担う環境を何とかできると良いですね。例えば、同じ疾患の患者会(家族会)とかは入っていますか?介助を続けるために、介助者の休息をサポートするレスパイトとかは、どうされていますか?
     ケアを続けるためには、周囲のサポートが必要ですので、同じ疾患のご家族で、有益な情報交換をしている所を探してみてはいかがでしょうか。在宅や訪問看護、介護保険について、私は専門ではない為、良いアドバイスができませんが、少しでも不安と負担が減り、お2人にとって幸せな時間を共有できる介護が、継続できると良いですね。

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  5. ��きっちさん
    適切なコメントありがとうございます。
    ��管理人不在のところ・・・すみません)
    アチーバですが、当院を担当頂いている地元業者さんに聞いたところメーカ純正のシガーソケット電源がなく、市販のインバーターを使用することが多いそうです。ただ、車のバッテリー容量に左右されることから要注意とのことです。
    私自身はNPPV+シガーソケット対応インバータを使用して車のバッテリー劣化が原因の電圧低下を経験しています(^^;ちょっと冷や汗出ました。
    >>道端で倒れた方へのAEDと同じ位に、
    >>『人工呼吸器使用者にはバック・バルブ・
    >>マスク!』ということが今後普及すると
    >>良いですね。
    このKeyWord来年の講習会で使わせて頂きます!!

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  6. ��はなさんへ
    きっちさんから頂いたコメントがとてもまとまっており、拝見した私も同感です。
    在宅人工呼吸に対する医療・福祉制度は必ずしも手厚いとは言えません。医療費が増加する中で、誰かが声をあげて行かないと在宅人工呼吸に対して保険点数のプラス改定が起きません。
    私の方では微力ながら各学会や講習会で在宅人工呼吸の現状や問題点を提議して行きたいと思っています。
    十分な情報を開示できないのですが来年は新しい在宅向けの人工呼吸器が2機種ほど市場に出るそうです。アチーバのバッテリー問題に不安があるのであれば、アチーバ以外の機種を「
    試す」ことも良いのではないでしょうか。
    >>毎日が不安
    不安の要素を1つ1つ解決できるように
    お一人で考えずにお近くの医療関係者にご相談下さい。
    もちろん 当サイトに記載頂いても結構です。
    分かる範囲でお答えいたします。

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