2012年8月1日水曜日

神経筋疾患と気管切開の選択 

暑い7月が終わろうとしています。今日は医療の話です。

職業上、どうしてもシリアスな場面に遭遇することがあります。事前に医師が患者・家族に対して、大切なことを説明することが分かっている場合には、私も気持ちの準備ができます。話に参加するメンバー(医師・看護師・家族・ソーシャルワーカー、、、etc)の立場を考えながら、自分がどの立ち位置で発言するかを考えます。それだけの準備を持って臨みます。

そんな十分な準備を持って臨む話が「神経筋疾患患者さんの気管切開」の話です。

進行病変である神経筋疾患の場合には、病気の進行に合わせてNPPVの使用ができますが、限界があります。どうしても、気管切開をするのか?しないのか?の2択をしなければなりません。気管切開を選択した場合、人工呼吸器を使用して換気を維持します。現行の日本の法律では、家族や医療者が人工呼吸器を外すと「殺人」となります。

では、気管切開をしなかった場合、NPPVには限界があります。NPPVの調整を行っても、呼吸が維持できなくなるのです。

現在の職場で在宅医療に携わって6年以上が経過。気管切開を選択された方、気管切開を選択しなかった方。多くの患者さんの「選択」をみてきました。私にできたことは、患者・家族に対して、必要なタイミングで必要な情報を提供していくことだけでした。病気の進捗よりも、提供する情報が遅くならないように。自分の発言した内容が、気管切開の選択に何かしらの影響を与えると思うと、安易な言葉で説明するわけにはいきません。

今週 一人 気管切開を決断された患者さんがいます。現在入院中ですが、出来るだけ早く、住み慣れた自宅へ戻れるようにできる限りの協力をしたいと思います。


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