2011年3月31日木曜日

在宅人工呼吸器の外部電力確保を考える

今日は医療ネタです。

現在対応中の在宅人工呼吸器のバッテリー駆動や
予備電源に関して考えてみます。
在宅酸素に関しては明日以降に記載します。

注意!!
あくまでも管理人が対応している内容です。

在宅人工呼吸器における電源系統は大きく分類して3つ。
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��.家庭用コンセトからの電気(100V)

��.呼吸器本体に内蔵されているバッテリー

��.外部電源
��)メーカ純正品の外部バッテリー
��)メーカ推奨の外部バッテリー
��)医療用バッテリー
外部バッテリーに関しては1)~3)までが正論


��)車のシガーソケットからの電源確保(インバーターの利用)
今回の震災直後から販売が伸びているようで、
近所の量販店には在庫なし。


��)発電機
最近はセルスーターの発電機もあり、力の弱い方でも
始動させることが可能。ただし、室内で使用できないことから
屋外設置。集合住宅の場合では、音の問題も考慮する必要がある。
停電時が発生した後から準備をする必要があるため、
夜間に準備をするには、普段からトレーニングが必要

��)車載バッテリー等を利用したバッテリー
多くの場合は自作となると思います。
車用バッテリー+バッテリー充電器+インバーターの3つです。
こちらも停電が発生してからの準備となります。
普段は車用バッテリー+バッテリー充電器を用いて、充電をしておく
必要が。

��)パソコンUPSの代用


��)~7)は使用する器材の組み合わせによっては、
呼吸器メーカから難色を示す。
・・・ 極論を記載すると、4)~7)は自己責任となります。

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病院内にいる場合、停電時には発電機が動きますので、
燃料(重油・軽油)がある限りは問題ありません。
しかし、自宅での場合 「停電」は大きな問題です。

今回の計画停電で困ったのが
①やるか・やらないか前日もしくは当日の2時間前まで分からない
②1日2回の停電パターンが2日連続で行われると、バッテリーの充電時間が
  10時間しか確保できない
③計画停電で困惑しているのは病院も一緒・・・ 一時的な緊急入院ならば
 いいが、なるべく早く退院して欲しい(って思われてしまう)

○在宅人工呼吸器におけるバッテリーの諸問題
・TPPV対応機種は内部バッテリーがある
・NPPVを行う機種では内部バッテリーを搭載している機種が少ない
・バッテリーの購入や使用に対して、補助制度がなく自己負担
・長時間停電を想定した場合は内部バッテリー単独で在宅療養を続ける
 ことは困難


なんだよ管理人・・・文句ばかりじゃんって思われそうなので・・・
○TPPVの患者さんの場合
自宅療養生活をする上での介護力に合わせた外部電力の確保
・長時間停電を考えると発電機が望ましいが、発電機の管理や
 現在の物流からすると入手困難
・パソコン用UPSを使用(リスクの説明)
・車のシガーソケット+インバーターを用いる
・呼吸器の内部バッテリーにはなるべく使用しない


○NPPVの患者さんの場合
・NPPVへの依存度の確認
・1日の使用時間が12時間を越える場合には、内蔵バッテリー搭載の
 機種か、外部バッテリーを併用する
�� 参考 ~
帝人在宅医療では、難病指定されている疾患の場合、NPPVをもう1台
予備で借りることができます。また、外部接続可能な医療用大型バッテリーを
無償で借りることができます。


当院の患者さんからは、ソーラーパネルを用いた充電システムを
作れないかと相談を頂きました。
理屈としては可能です。
ソーラーパネル、バッテリー、インバーターの3つが基本なのですが、
ソーラーパネルからの電力をバッテリーに充電するための変換器が
必要だったりします。
できればバッテリーも通常の車用のバッテリーよりは、
ディープサイクルバッテリーと言われる充放電に強いタイプが望ましいです。
インバーターは、できれば正弦波出力が望ましいです。
なんて、金額を合計していくと、ソーラーパネルの代金以外で7万円以上
してしまいます。ソーラーパネルを入れると、10万以上は確実です。
値段の安いパーツを選択してコストダウンも可能だと思うですが・・・。
しかも、天候に左右される問題が。
��0万円以上出すならば、医療用のバッテリーを購入しましょう!!と
話をしました。


上記の話 興味があるかは、DENRYOのHPをご参照下さい 
http://www.denryo.com/news/index_keikakuteiden.html
実はいろいろ調べている最中に、こちらのHPにたどり着き
いろいろ電話でご相談に乗っていただきました。
とても親切な対応をして頂きました。


そういえば震災の直後に某ハウスメーカの担当者さんから
突然電話を頂きました。
在宅医療でも使用できる充電式のバッテリーについて、、、、
確か本体価格 190万円、1ヶ月のリースが5万?うろ覚えなのですが・・・
確かにリチウムイオンバッテリーで高性能なのですが、
本体重量が60kg近くするようです。
金額・重量の面から見ても、この外部バッテリーが在宅医療で活躍する
姿は期待できません。
在宅医療や医療機関等で使用するならば、
現場ニーズの把握をされることを期待しております。



4 件のコメント:

  1. 今回の停電は本当に危険ですね。
    しかも正弦波ではない擬似正弦波の自動車12Vから100Vへのインバータや安物発電機では、機器類の停止だけでなく、機器故障のリスクが大きいと思います。
    そこで、長時間人工呼吸器を使用する在宅の場合には、
    ��.外部電源
    ��)、2)、3)、6)の
    外部バッテリーの複数所持及び充電器の複数所持。
    ただし、今から急に購入と考えても在庫が不足していると思います。今回の教訓から今後に活かす議題と考えます。
    というのも、外部バッテリーを1つだけしか所持していなければ、いざ、使用するときに故障や劣化が考えられますし、今回のように、充電時間が十分に得られない時でも対応が可能です。
    ただし・・・、自己負担で安全を自身が購入する保険的意味合いになり、強制はできません。

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  2. 帝人の準備されている医療用大型バッテリーって、医療用UPSのREMiOの事ですか?
    NIPネーザルⅢには、外部バッテリーの接続端子がついていなかったように思うので…。
    NIPネーザルⅢがどのぐらい作動できるかの情報があると良いのですが…。
    NPPV専用機を使用している人たちには、作動中に停電が起きた場合、設定値のリセットなどの不具合が起こる可能性もあることにも注意していただきたいです。
    液晶画面表示が消失したこともあります。
    瞬間停電で経験した事なので、計画停電のように長時間の停電には影響しないかもしれませんが、念のため注意が必要かと思います。
    REMiOが手に入らない場合は、パソコン用UPSの常時インバーター方式のもので代用する方法もあります。
    OMRONのBU100RWだと、増設バッテリーBUM100Rをつければ、作動時間の延長も可能です。
    実質的な在宅用人工呼吸器の消費電力って、50W前後のものが多いから、このクラスのUPS単体で約2時間半は作動可能です。
    増設バッテリーをつければ、約8時間半作動可能。
    参考までに、UPS+増設バッテリーで、定価25万円、重量46kgと、ちょっと厳しいかな。
    医療用UPSのREMiOを使っても、中のバッテリーの容量は大差ないと思うので、増設バッテリーがないと厳しいかもしれません。
    車のシガーソケットの使用では、メーカー純正のケーブルも存在する機種があります。
    最近の機種には、ほとんどあるのでは?
    ただ、ケーブルが短いので、車から屋内に引き込むには、長いケーブルを自作しなければなりません。

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  3. ��きっちさんへ
    返信が遅くなりすみません。
    外部バッテリーの検討は頭の痛い課題です。きっちさんからコメント頂いたように外部電源としては複数の選択肢を持っていることがリスクの分散になります。しかし、外部電源への補助制度がないことから患者さんの自己負担増が課題となります。集合住宅の場合では、発電機は「騒音」が問題になり、車からのシガーソケットを使う方法は、距離が問題となります。どの方法も一長一短です。
    とりあえずは各患者さん宅の事情に合わせて相談をしていきたいと思っています。夏の暑い時期の計画停電をどのように乗り切るかが今から検討しています。

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  4. ��ぽっぽさん
    返信が遅くなりすみません。
    帝人が準備してくれるREMioですが、型番1000か1500のどちらか記憶が曖昧なのですが・・・メーカは設置する際にNIP-Ⅲでは約2時間程度との話をしてくれます。私が院内で試した時には3~5時間程度でした。設定条件によって異なる。
    今回の停電期間中に駆動時間を試した患者さんがいて、その患者さんの話では約4時間くらいとのことでした。
    長時間停電を想定すると、どうしてもバッテリーの増設を検討しなければなりません。が、ぽっぽさんが記載されているような金額になってしまいます。全ての患者さんが自己負担で対応するには限界があります。かと言って、停電のたびに一時避難的に入退院を繰り返すわけにも行きません。移動自体がリスクを伴います。
    困った問題です。心の中で「ドラ○も~ん」と叫びたくなります。
    現在のところ計画停電の3時間×1日2回のパターンには対応ができていることから、長時間停電への対応を検討中です。こちらのネタは、随時ブログに掲載していきます。

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