在宅酸素療法は日本独自の発達したシステムと言われています。先進国で在宅酸素療法が無いという訳ではありません。医師が酸素療法の指示を出すと、メーカさんさんが親切丁寧に自宅へ設置してくれるのです。それが医療保険でカバーされています。
この業界シェアの構図は長らく変化していません。(たぶん)
自分が在宅医療に従事し始めた5年前ほど前は、医療機器の進化は在宅酸素濃縮器まで波及していませんでした。
ここ数年変化の兆しを感じています。
今回使用できるようになった星医療酸器の Bluetooth搭載酸素濃縮器+ギャラクシータブレットの組み合わせによる「Pallet's」システムは、今後の在宅酸素療法の新しいステージを象徴していると考えています。
在宅酸素療法の指示を出す際に困るのが、安静時処方や労作時処方、睡眠時の処方と言った日常生活労作に合わせた酸素流量の指示が出ることです。
特に、労作時の時が問題でした。動く前に酸素流量を上げることが理想ですが、酸素濃縮器の所まで行かないと流量を上げることができないのです。
そのため「おぉ~い 酸素を3に上げてくれ~」と言った夫婦の会話がでるわけです。しかし、いつもパートナーが近くにいるとは限りません。独居の方もいるわけです。結局 自分で安静時酸素量のままで、酸素濃縮器まで移動して、労作時酸素の上げるということになります。
そんな面倒なことやらないでしょ(^^; すると患者さんは、安静時酸素も労作時酸素も同じ流量で酸素を吸います。足りないOrz
ここに対して、フクダライフテックからは「リモコン」付という濃縮器が出ました。しかし、リモコン・・・本体とリモコンが直線関係でないと操作できない。
今回のシステムで画期的なこと
��. Bluetooth搭載による相互間通信機能を持っていること
これよりパンフレットでは30mの遠隔操作が可能らしい。
おぉ~って驚いた方。酸素濃縮器から伸ばせるチューブの長さはせいぜい15mまでです。 Bluetoothで30mをカバーするということは、1階・2階での操作が可能。さらに、相互間通信により、現在流量の確認が可能となりました。
��.災害対応
タブレットはギャラクシータブレット(OS:アンドロイド)。他の機能は全てロックしてあるそうです。在宅酸素専用のアンドロイド端末と言ってもいいでしょう。
このタブレットのメニューの中には、災害時の対応に関する内容もあり、衛星通信で本社へボンベ配達依頼ができるようです。
注意!! 現時点でこの災害対応は、緊急時のボンベ配達に関係するものです。日常のボンベ欠品で連絡ボタンを操作すると、自宅周辺のメーカ担当者が非常事態体制になるそうです(^^; 実際に1例 ボンベの欠品で災害対応ボタンを押したケースがあるらしい。
��.患者支援システム
一番の注目は患者支援システムです。今日の体調を質問形式で答えクラウド上にデータを貯めることができるようです。また酸素療法に関係する映像や栄養指導、さらにはリハビリについての項目もありました。
まだまだ魅力的な項目が沢山あります。Bossから新システムへ1症例変更する指示をもらっていることから、さっそく段取りを開始します。
ちなみに、、、、 メーカ担当者の方には、タブレット端末で酸素流量のOFFがボタン1つの操作で停止できるのは危険であることをお伝えしました。なにやら、猫ちゃん、犬くんの肉球でもタブレットが反応するらしい。
「停止」操作をした際に、再度停止しますか「はい」「いいえ」の2択させることは安全管理の面からも必要だと思います。
さて、さらにもう1つ。
今回 星医療酸器がこのようなシステムを出してきたことは、とても画期的です。在宅酸素療法に関係する各メーカさんがどのような形で追従してくるか楽しみなところです。
長らく在宅医療はIT化から遅れてきました。遠隔医療なって言葉もありますか、医療機関同士のモノだと思っていました。
今後在宅医療にもIT化の波がやってきて、患者さんに良質な医療を提供すると同時に、医療スタッフの業務効率の向上に寄与してくれるものと期待しています。
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