2008年1月10日木曜日

困った回路・・・

昨年暮れぐらいから話が出ていた人工呼吸器の回路構成変更。
簡単に書けば、新型回路への移行です。

これが困った問題なんです。
本来製品名を記載することは避けたいところなのですが、
注意喚起の意味を込めて記載します
HMV レジェンドエアの人工呼吸器回路です。

新型回路の全体像はこんな感じです。
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これだけでは、何が問題か分かりませんよね。
↓の写真で呼気弁をみて下さい。
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なんと、外径が同一なんです。
このため、人工鼻を併用している場合はで呼気排出側にも間違って
接続できてしまいます。

正常接続はこれ↓
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異常接続はこれ↓


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困ったもんです。

現在 病院内で使用されている人工呼吸器の多くは、呼吸器本体に呼気弁を
有しています。
それは、呼気弁の高度制御により息を吐きやすい構造を可能としています。
その分、院内で使用される人工呼吸器は構造が複雑になります。
本体から出て行く空気の流れと、本体に戻っていく空気の流れの計2本のチューブが
基本となります。

一方 呼気弁を呼吸器本体に持たない人工呼吸器では、当然ならが回路途中に
呼気弁が存在します。
レジェンドエアも呼気弁が回路途中についています。
呼気弁は専用のものを使用しているために、メーカ側が規格変更した場合には、
それに従わざるを得ません。

と、言うことで年末年始でせっせと写真を撮影して来るべき
新型回路の使用に備えています。
既に訪問看護ステーションにはお知らせの文書を郵送済み。
本当は、新型回路の実物を実際に触ってもらいたかったのですが、、、
未だに日程調整の連絡が来ない・・・。
また明日連絡してみよう!!


あっ この人工呼吸器の回路。
添付文書に「使用期間は15日以内」との記述が掲載されました!!
��5日以上の使用は、メーカ側として安全と言い切れないとのことです。

色々と大変です・・・。


余談
 このような呼気弁がなぜ世の中にでてきたのか不明ですが、
 フェイルセーフ(Fail Safe)の考えからすれば、外径を少し太くすることで
 対応できたのではないかと思います。
 この呼気弁を見たときに、そういえばMEの教科書にフェイルセーフなんて
 言葉があったなぁ~って思い出しました。
 
 とりあえず、今後販売される回路は全てあの呼気弁になってしまうので、
 対策を実施します。


13 件のコメント:

  1. ぷーーさん2008年1月10日 9:41

    同様な感じの問題点は、
    呼吸器には限ったことではなくて、
    いろいろな機器にもあるんですよね、
    でもなんでこうなってしまうんでしょうね。
    これでミスったら結局は医療従事者の責任になってしまうんですよね?
    作る側も、使用する側も
    自分からの視点からしか見られない、
    だからこそ、お互い声を上げていくしかないのかもしれません。
    でも、恐ろしいですね。

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  2. ��ぷーーさん
    コメントありがとうございます。
    この人工呼吸器に対応する回路は1種類だけです。
    その回路が、このようになってしまうと
    エンドユーザーである我々には手の打ちようが
    ありません。
    改造するわけにもいきませんから、
    注意喚起を徹底することと
    「接続禁止」の黄色テプラを作成して回路交換時に
    張ります。
    また、人工呼吸器点検表には新たに点検項目を
    追加します。
    とりあえず思いつくことは全てやろうと思います。
    ��作る側も、使用する側も
    ��自分からの視点からしか見られない、
    ��だからこそ、お互い声を上げていくしかないの
    ��かもしれません。
    その通りだと思います。
    事故が発生する前に、規格変更になることを
    望んでいます。

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  3. はじめまして。
    このレジェンドエアの呼吸回路(もともとアチーバで使っていたもののようですが…)、呼気弁の内圧異常を知らせる「バルブチェック」アラームが頻繁になるものがあるため、返品して、メーカーからの回答が来るまで、旧タイプの呼吸回路(Intersurgicalの呼吸回路)を使用していました。
    厄介者のDARの呼吸回路の呼気弁は、どうやら改良するらしいのですが、形状に関しては変化するのかどうかわかりません。
    この形状では、誤接続や閉塞の危険性が高まり、困ります。
    Intersurgicalの呼吸回路もしばらく販売するようですが、どうなることやら…。
    タイコがレジェンドエアの会社を買収した影響で回路変更になったのでしょうが…。
    アチーバで使っていて大丈夫だからって、レジェンドエアでも問題ないとは限らないのに…。

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  4. ��ぽっぽさん
    コメントありがとうございます。
    もとはアチーバ系だったんですね。
    詳しい情報をありがとうございます。
    汎用型回路が使用できれば良いのですが。
    ��ジェンドエアのように使用できる回路が
    限られている場合には、大変です。
    Intersurgicalの呼吸回路に関しては、
    ダブルクランチはまだ在庫があるそうです。
    ��どこまで本当の情報か不明ですが、、、)
    当院にはシングルブランチはDARの回路が
    出荷されてきています。
    当院のように使用量が少ない場所には、
    旧型回路は回ってきません(^^;
    今月末からDARの回路に変更となります。
    困ったもんです。
    が、しかし、、、可能な限りの対策を施行する
    つもりです。
    レジェンドエアのネタありがとうございます。
    たまぁ~に呼吸器ネタを記載しています。
    お時間がある時に コメント頂ければと思います。

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  5. こんばんわ。
    当施設では普段、BiPAPを使用しているのですが今回、在宅で急遽受け入れ先がなく入ってきた方がレジェンドエアを使用しています(レスパイト目的)。
    使用方法について質問なのですが現在、PAVCというモードにて目標TV170としています。PAVCは他でいうPCVと同じと解釈しているのですが目標TVの設定もありよくわかりません。これはどういったものなのでしょうか?

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  6. ��ポパイさん
    BiPAPということはフジ○ピロニクスで
    すね。レジェンドエアのPAVCは、Pressure Assisted Controlled  Ventilationの略です。これだけどさっぱりですが。
    PACVは従圧式人工呼吸です。レジェンドエアの場合、吸気トリガーをOFFにするとPCV。
    吸気トリガー設定がされているとPACVと
    なります。 PACV≠PCV
    AのAssistedが入ることで
    患者さんの自発呼吸全てに対して
    設定した従圧設定で換気が入ります。
    PCVは設定した呼吸回数でのみ換気が
    入ります。
    TargetVTは、目標設定された換気量に近づけるためにIPAP圧を自動変更する機能です。現在TargetVT 170mlなので、170ml入るためにPAVC/PACのIPAP圧を自動調整しているとご理解頂ければと思います。
    ただTaegetVTが170mlとなると小柄な方でしょうか?少し設定量が少ない感じもありますが。少し参考になりますか?

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  7. 早速の返答ありがとうございます。
    なるほど、BiPAPでいうSTモードとほぼ同じですよね(目標VTは考えないとして)。目標VTなるものがあったのでエビタでいうところのオートフローやサーボでいうPRVCと同じなのか迷っていた所です。
    その方は小児の方です。ちなみに目標VTが170、アラーム上限設定が700というのはアラーム設定としてはちょっとマズいですよね…。

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  8. 横レス失礼します。
    ポパイさん、はじめまして。
    気管切開かマスク換気かでアラームの設定は異なると思います。
    マスク換気の場合(特に、鼻マスクの場合)、Vti上限アラームの設定をきつくすると、ピーヒャラ、ピーヒャラとアラームが鳴り過ぎて、狼少年になってしまいます。
    アラームのせいで、患者さんの安眠を妨害するようなことがあっても良くないので、アラームの設定は難しいです。
    普段のVtiのモニター値を参考にして決めると良いと思います。
    STモードとPACVモードは、違いますよ。
    何が違うかというと、吸気時間です。
    STモードは、PSV+PEEPのような感じです。
    したがって、呼気トリガーがかかり、吸気時間が毎回変動します。
    PACVモードは、呼気トリガーはかからず、吸気時間が一定です。
    BiPAPの機種がシンクロニーなら、PCモードがPACVモードに近いと思います。
    BiPAPの機種は種類が増えてきているので、BiPAPの後ろにつく名前を書いてくれた方が相手に伝わりやすいと思います。

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  9. ��ぽっぽさん
    コメントありがとうございます。
    ポパイさんから頂いた質問内容と
    私の解答内容がTPPVとNPPVとの
    違いで誤解をさせてしまったようです。
    ぽっぽさん訂正ありがとうございます。
    一般的なTPPVアラームの設定値に
    関しては日本臨床工学技士会HP
    http://www.jacet.or.jp/index.html
    日臨工発行物の中に
    医療スタッフのための人工呼吸療法における安全対策マニュアル Ver.1.10
    http://www.jacet.or.jp/03report/pdf/kokyuuki_manual.pdf
    この指針は誰でも見ることが可能です。
    お時間がある時にご参照ください。

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  10. 管理人さん、ポッポさんありがとうございました。大変、よくわかりました。ちなみにレジェンドエアのリーク補償はどれぐらいあるのでしょうか?
    うちでは在宅用にシンクロニーを使用していますがNPPVは基本60L/minぐらいなのでしょうか?
    質問ばかりすみません…。

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  11. レジェンドエアのリーク補償は、シンクロニーと遜色ないと思います。
    ただ、トリガー感度に関しては、シンクロニーの方が優れていると思います。感度というよりも、吸気努力を感知してから、装置が空気を送り出すまでの時間に差があるのだと思います。レジェンドエアが感知してからタービンの回転数を増やすのに対して、シンクロニーは感知してからバルブを開くだけですから…。
    シンクロニーもレジェンドエアも吸気流量が120~130L/minまでなら、何とか動くと思いますが、それ以上になると、動作が不安定になると思います。
    ビジョンやNIPネーザルⅢは、リーク補償が強く、吸気流量170L/minぐらいまで供給できると思います。

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  12. とてもよくわかりました。ありがとうございます。当施設では元々、使用していない機種だったので助かりました。

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  13. ��ぽっぽさん
    不在時に丁寧に解説を頂き
    ありがとうございます。
    私自身も勉強になりました。
    ��ポパイさん
    このサイトがポパイさんの
    臨床知識の参考になり幸いです。

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