医療ネタです。
ブログの更新頻度は低迷し、さらに臨床ネタが減っている!?訪問看護師さんやメーカ担当者と世間話をする度に、こりゃ~ネタにしなければと思うことが多々あります。
そんな中「慢性呼吸不全の患者さんへNPPVを出しっぱなしはイケません」的な内容をひとつ。
NPPVの爆発的な普及につれて、在宅医療でもNPPVを使用する患者さんが増えています。問題は、出しっぱなしになっていないか?ということ。1年時間が経過すれば、1年歳をとります。NPPVの設定だって変更が必要になっているかもしれません。
NPPVを上手に使用して、ここ数年は増悪をしていない患者さん。現在は当院の理学療法士が訪問リハビリに入っています。院内カンファレンスでBossから夜間就寝時のSpO2測定の指示が出ました。
左図はパルスオキシメータを使用した就寝時のSpO2測定です。赤が酸素飽和度、青が脈拍。この方は夜間就寝時NPPVを使用しています。
NPPVを使用しているにも関わらず、酸素飽和度が低下。酸素が足りなくなるので、心臓が頑張って脈拍数が増加する。
赤線と青線がノコギリの刃のようにギザギザしている箇所があります。
今回のケースでは、NPPVに酸素療法を併用する作戦が選択となりました。
NPPVの圧力を上げるという選択肢もあるのですが、今回の場合は素直に酸素を混ぜます。
この作戦には続きがあります。すでに酸素療法の併用は開始しており、次の段階では効果の確認必要です。近々 もう1度夜間就寝時のSpO2測定を行います。
と、このように慢性呼吸不全でNPPVを使用して、症状が安定している方の場合でも、SpO2測定や血液ガス測定、NPPV本体の内部データを確認が必要です。どこかに落とし穴あるかもしれません。
indiyです。
返信削除数日前、私の勤務先でも同じような事がありました。
1年前に、当院でレスパイト中に呼吸器を新型機種に交換した
患者さんですが、ご家族の「痰を早く気付きたい」との希望で、高気道内圧警報を、今まで使用して呼吸器より数cm下げて交換しました。
関係者には周知したつもりだったのですが!!
1年後、在宅を見てくれているDrより、
「ご家族が、気道圧警報が良く鳴ると言っているのだが・・」
との問い合わせがありました。
当院では、「10年以上人工呼吸やっている患者が、そんなに急に気道圧が上がらないだろう」と判断し、話がかみ合いませんでした。
そこで、呼吸器メーカーに、SDデータカードを読みだしてもらったところ、1年かかって平均気道圧が数cm上昇しているのがわかりました。
(リハビリ等の問題もあったようです!!)
今回は、呼吸器メーカーのご協力で、急性期病院と在宅医療機関の間の連携がうまく取れましたが・・・・!
在宅医療が押し進められるなか、人工呼吸器の管理については、
まだ緒に就いたばかりなのかな!と思っています。
・・・・・穴を、呼吸器のSDカードの記録機能が補ってくれています・・・
私が最近出会った(学んだ)落とし穴
返信削除①一見良さそうなデータ
SpO2が90未満(80代)で心拍数が100以上は眠っている時の悪いデータと判断できた。SpO2が94%以上、心拍数が60代で眠っている時の良いデータと思っていたのが、実は眠れていなくてウトウトしながらも起きているデータだった。夜間は殆ど眠れず、朝方から眠り、昼間にも寝ていた。対処したところ一見データが悪くなったようにみえたが、実は深く熟睡したためで、しばらくすると換気が改善(炭酸ガスも低下)して本当に良く眠れているデータでは、心拍数が40~50代まで下がっていた。
②エアリーク??
エアリークがあるので口鼻マスクのフィットする物にしたが、夜間にブブブーと大きな音を立ててリークしており、どのようにフィッティングしても再発する。基礎疾患があっての呼吸不全の場合で、単純なエアリークではなかった。喉頭などの浮腫や声門が閉じての気道閉塞が生じ、エアが行き場を失ってマスク周囲や口から送気が全部漏れていた。頸部や胸郭変形、増悪した心不全、そして便秘や腹部膨満など横隔膜への抵抗。これらには苦労しています。このように閉じた声門は40hPaの陽圧をかけても開かないとも・・・。しかし普段からの腹部管理と首の向きや体位(これで何とかなることも多いです)、心肥大の治療で許容できる範囲まで解決する事もあるし、ライズタイムの調整やI/E比の逆転、ターゲットボリュームなどを駆使することも。発見にはリークしている時に漏れを塞いでVTeの確認をすると、殆ど100ml以下かゼロ近くになりました。最近、結構多く出会います(泣)。
③呼気トリガーの問題
殆どの機種のS/Tモードや、ト〇リジーのPCVモードは呼気トリガーが働きます。これが案外悪さをします。吸気途中や十分な送気をする前に吸気が終了していることがあります(これを書くと長くなるので省略)。解決策はTモード。
④圧式の原理
設定圧が気道内圧に達しているとは限りません。肺ではなく鼻汁や鼻閉、気道内の痰にぶつかって設定圧に達していることも。一部の機種ではターミネーション(高圧に対する安全弁)にとても敏感で、吸気時間が全然無くなることも(これも長くなるので省略)。発見はI/E比やVTeのチェック。
結局、夜間に何が起きているかは、寝ている状態の観察が鍵になると感じました。色々な意味(在宅は、なおさら)で、本当に難しいですね。いつも頭を悩ませています。
返信が遅くなりすみません。
返信削除>indiyさん
在宅で使用する人工呼吸器はデータマネージメントツールが標準装備になりつつあります。ただ、indiyさんのようにデータの確認をして頂ける方が少ないようです。
このデータ解析が院内の臨床工学技士が在宅医療へ携わるきっかけになればと思っています。
今後は私のブログでも実際のデータ解析の課題などを書きたいと思っています。
>きっちさん
①の「一見良さそうなデータ」は長期NPPVではありがちな落とし穴かと思います。在宅NPPVは夜間就寝時の情報量が不足しており、データマネージメントツールだけでは拾いきれません。独居でなくとも、就寝時は一人の方は多いですし、寝ている様子を予測していくことは重要なアセスメントだと再認識しています。
(全く違う話ですが、マスク:ブリーズが色々な事情で在庫数が増えます。必要な時はお声かけ下さい。)
今回はお二人かた貴重な臨床業務上の体験談を頂きました。私自身が勉強になりました。
短期間で多くの方から、ブログを見て頂いたようです。うちではこんな「落とし穴」を体験した・・・などありましたら、個人情報に引っかからない程度に記載して頂ければ情報共有になります。
ちなみに、コメントはいきなり公開されませんので、一度中身を確認してから公開させて頂いています。