2015年2月11日水曜日

私見:神経筋疾患への呼吸管理ではとりあえずという考えでのNPPV導入は止めた方がいいと思う

医療ネタです。

ここ最近立て続けに神経筋疾患の患者さんの訪問診療の相談を頂いています。筋萎縮側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)、多系統萎縮症(MSA:multiple system atrophy)で相談を頂きます。今の所、筋ジストロフィーの相談はありません。

現在ご相談を頂いている多くのケースが、既に気管切開をされいるケース。もしくは、長時間NPPVをされているケースがあります。

今の所、残念なことに訪問診療のご相談を頂くときには、NPPVを適切に使える期間を過ぎていることが多いです。全くNPPVを試さずに気管切開に移行されているケースもあります。

NPPVを試さなかったのは、疾患の進捗状況からNPPVは換気の維持が確保できないため、選択外となったのか、初めからNPPVの選択枝が無かったのかは分かりません。なにせ、その後になってから相談を頂くので、「選択」の経緯をお伺いするまでに時間がかかります。

ここでようやくタイトルに戻ります。
在宅人工呼吸器の基本性能が飛躍的に向上したことで、呼吸同調も良く、自宅でのコンプライアンスの把握も可能となりました。一方で神経筋疾患の場合には、進行性病変として、NPPVが使えなくなる可能性もあります。だからこそ、「とりあえず」NPPVで急性増悪の対応は良しとしても、「とりあえず」長く使ってみようという発想だと、気管切開の選択、人工呼吸器装着の選択が曖昧になります。NPPVの良い事、将来発生する可能性があること。NPPVを使わなかったからどうなるか。NPPVを始める前に、医療者側からの説明が必要だと考えます。

過去のブログでも何度も書きましたが、私は気管切開を推奨・否定 どちらもしません。ただし、その選択が本人・家族がそろってできるように、可能な限りの情報をお伝えしていきます。NPPVも同じです。使った場合の良い事、使わなかった場合に想定されること。何度でもお伝えします。

NPPVの普及によりご自宅や施設で使う方は増えることでしょう。神経筋疾患に限らず、NPPVが上手に使えているかは、定期的に確認する必要があります。場合によっては、こまめに設定変更も必要です。「とりあえず」だけで自宅に持ち帰ると、ホコリをかぶって使わないことにもなりえます(^^;







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