2026年10月11日

今さらですが「R8年診療報酬改定」を振り返る

【要約】R8年診療報酬改定のポイント

令和8年度(2026年度)診療報酬改定は、物価高騰と医療従事者の賃上げへの対応を主眼とした改定となりました。病院・診療所ともにベースアップ評価料の拡充等により人件費原資が手当てされた一方、物価対応分などの配分は病院重点となっており、診療所では業務効率化や医療DX・データ提出への対応が実質的な経営維持の鍵となる二極化が進んでいます。診療報酬の改定よりも、インフレのスピードが早いため多くの医療機関は支出が増加して「赤字」が増えています。

1. 医療機関の財務・経営面への影響

  • 賃上げ原資の手当てと使途の限定性:ベースアップ評価料の点数見直し等により医療従事者の処遇改善が進められたものの、算定増収分は職員の給与引き上げに充当する必要があるため、医療機関の純利益や内部留保として残る幅は限定的です。
  • 病院と診療所における改定効果の格差:物価高騰対応分や緊急対応分の配分比率が病院に手厚く配分されたため、小規模な無床診療所などでは光熱費・消耗品の高騰を吸収しきれず、収支管理の厳しさが続いています。当院は「有床診療所」ですが、「有床診療所」をサポートして欲しいです。

2. 外来・クリニック領域への影響

  • かかりつけ医機能とデータ提出要件の浸透:旧外来データ提出加算が見直され(充実管理加算等)、算定ハードルが調整されたことで、診療所にも外来医療データの提出や機能報告を前提とした運用が広がっています。
  • 生活習慣病・慢性期管理の厳格化:令和6年度改定で再編された生活習慣病管理料の枠組みが定着し、計画書作成や患者への療養指導、ICTを活用した継続的管理を行っているかどうかが再診関連の収益を左右しています。生活習慣病管理料のデータ提出は、電子カルテ性能と厚生労働省のデータベースの相性によります。提出した時点では、エラーが無いはずなのに・・・後からエラーがあってデータ提出加算を認めてもらえない・・・なんてことが。
  • 時間外対応体制の差別化:時間外対応体制への評価が引き上げられ、地域で夜間・時間外の電話対応や受診体制を整えているクリニックが評価される一方、対応体制を持たない機関との評価差が広がっています。

3. 入院・急性期・リハビリ領域への影響

  • 一般病床・急性期基準の適正化:重症度・医療・看護必要度の見直しに伴い、急性期一般入院料を維持するための患者受け入れ基準への対応が求められ、地域包括医療病棟等への転換や機能分化が進んでいます。
  • リハビリテーションと在宅復帰連携:病棟配置療法士の実績指数や退院支援、在宅医療への接続がより強く意識される設計となり、多職種連携と早期在宅移行の成否が病院の稼働率・収益に直結しています。

4. 医療DX推進と業務運用の変化

  • 設備投資と運用実績の重視:医療DX推進体制整備加算をはじめ、電子処方箋やマイナ保険証の利用率、電子カルテ情報共有サービスへの接続など、単なるシステム導入にとどまらず「実利用の実績」を満たすことが算定維持の要件となっています。
  • タスクシフト・シェアの加速:人手不足と生産性向上要請から、医師から看護師・薬剤師・臨床工学技士・事務員等へのタスクシフトや、ICTツールを活用した問診・会計の自動化が不可欠な経営課題となっています。どこまで「タスクシフト・シェア」されるのか・・・

【引用・参考元】
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の基本方針の概要」「改定率等について」
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理に関する意見」
  • PHC「前回診療報酬改定の振り返りと令和8年度診療報酬改定の行方」

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