2026年(令和8年度)の診療報酬改定に向けた具体的な議論が、いよいよ大詰めを迎えています。2025年1月23日に開催された中医協(中央社会保険医療協議会)の資料から、私たち臨床工学技士(CE)の働き方に直結する重要なポイントが見えてきました。
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001639439.pdf
全807ページあります。
今回の改定は、単なる点数の増減に留まらず、CEの「職能としての地位」を大きく前進させる内容が含まれています。主要な5つのトピックに分けて解説します。(まだ確定ではありません。)
1. 手術支援ロボット:CEの「常勤配置」が必須要件に
今回の改定で最も象徴的なのは、「内視鏡手術用支援機器加算」の新設です。手術支援ロボットを用いた高度な手術を評価するこの加算において、施設基準として以下の内容が明記されました。
常勤の臨床工学技士を1名以上配置すること
機器の保守管理計画を作成し、適切に運用すること
これまで「望ましい」とされていたロボット手術への介入が、公的に「必須の専門職」として認められた形です。CEが手術室の安全と質を担保するキープレイヤーであることが、改めて定義されました。
2. 医療従事者の賃上げ(ベースアップ)への対応
昨今の物価高騰や人材確保の観点から、医療従事者の所得向上を目的とした「ベースアップ評価料」が継続・拡充されます。CEは「医師・歯科医師を除く、主として医療に従事する職員」として、この評価料による賃金改善の対象に含まれます。外来・在宅・入院の各区分で、スタッフの処遇改善に充てるための原資が評価される仕組みです。
3. 透析(人工腎臓)業務の質の向上と適正化
CEの主要な活躍場である透析分野では、「腎代替療法診療体制充実加算」が新設されます。単に透析を行うだけでなく、以下の「管理と連携」が評価の対象となります。
選択支援と教育: 血液透析だけでなく、腹膜透析や腎移植を含めた適切な説明の実施。
災害対策: 災害時のリスク把握、マニュアル作成、情報伝達訓練への参加。
シャント管理の厳格化: 超音波検査等を用いた血流量や抵抗指標(RI)による評価に基づき、手術の点数が区別されるようになります。
4. 医療DXの推進:遠隔プログラミングとICT活用
在宅医療におけるデバイス管理においても、ICTの活用が本格的に評価されます。在宅振戦等刺激装置治療指導管理料: 情報通信機器を用いた「遠隔プログラミング」による指導管理が新設されます。私は、この分野をしりませんでした。
プログラム医療機器(SaMD): アプリなどを用いた治療用プログラムの指導管理についても、ICT活用の規定が設けられました。
これにより、CEが病院にいながらにして、在宅患者さんのデバイス調整をサポートする形態が広がる可能性があります。とはいえ、具体的に何をすべきかが分からない部分が多いです。
5. 集中治療・救急分野の再編
ICU(特定集中治療室)等の評価体系が、実績に応じた形に整理されます。実績評価の導入: 救急搬送件数や全身麻酔手術数に加え、ECMO(体外式膜型人工肺)や臓器移植の実績が、入院料の区分に影響します。
重症度評価として「SOFAスコア」の基準が見直されるなど、より高度な全身管理が求められる現場において、CEの技術的なサポート能力が試されることになります。
おわりに:私たちは「選ばれる専門職」へ
今回の改定案を俯瞰すると、国が臨床工学技士に対して「高度な医療機器を安全に運用し、かつチーム医療の中で役割を果たすこと」を期待していると推測されます。
配置要件の明文化は喜ばしい一方で、それに見合う専門性の維持と、データに基づいた管理能力がより一層求められるようになります。
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