2015年7月15日水曜日

ALSへのラジカット注の使用が認められました

医療ネタです。

神経筋疾患の人工呼吸療法に従事している私としては朗報です。
田辺三菱のラジカット(製品名と会社名を書きます)が、ALS(筋萎縮性側索硬化症)への投与適応となりました。

詳しくは、田辺三菱のHPを参照
筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関する一部変更承認取得「ラジカットR注30mg」「ラジカットR点滴静注バッグ30mg」(2015年6月26日発表)



もともとは脳梗塞の急性期に使用される薬剤で、フリーラジカルによる酸化障害を防ぐ役割があります。(たしか・・・)
ALSは原因の一つにフリーラジカルがあげられており、ALS患者さんへのラジカットの治験が行われていました。

今回の添付文章やプレスリリースを拝見すると手放しで喜べません。

プレスリリースの文章から一部を抜粋させて頂くと
「当社は、ラジカットRのALSに関する臨床試験を2001年から開始し、第Ⅲ相臨床試験(MCI186-16試験)において、本剤の効果が期待できる患者層を見出すことができました。その患者層(ALS重症度分類1度・2度、努力性肺活量80%以上等)を対象として2回目の第Ⅲ相臨床試験(MCI186-19試験)※3を実施し、日常生活機能の評価尺度である改訂ALS機能評価尺度(ALSFRS-R)スコアの投与前後の変化量の比較において、本剤群とプラセボ群に統計学的に有意な差を認めました。この結果は、24週(約6ヵ月)の試験期間において、ALSによる機能障害の進行を約2ヶ月分遅延させることが期待できると考えられました。」

プレスリリースの全文PDFはこちら 

残念ながら全ての患者さんに効果があるわけでは、なさそうです。
「その患者層」と書かれているのは、

<重症度分類>
    1. 家事・就労はおおむね可能
    2. 家事・就労は困難だが、日常生活(身の回りのこと)はおおむね自立
    3. 自力で食事、排泄、移動のいずれか一つ以上ができず、日常生活に介助を要する
    4. 呼吸困難・痰の喀出困難、あるいは嚥下障害がある
    5. 気管切開、非経口的栄養摂取(経管栄養、中心静脈栄養など)、人工呼吸器使用

分類の1・2となると・・・ちょうど、体の異変に気がつき、ALSと診断をされる頃、もしくは診断をされた直後になるのでしょうか。

そして、薬剤の効果としては、進行を約2ヶ月遅延させるとのこと。

ALSは個人差が大きい病気としても知られています。もしかすると、進行をもっと遅らせることができる方もいるかもしれません。

現在 私が携わっている患者さんにも重症度の低いALS方がいます。基幹病院の医師とも相談する形をとりながら、ラジカット点滴について、相談をしたいと考えています。

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