医療ネタです。
まず、私の立場を書きます。
・SERVE-HF臨床試験の中間報告を聞いて、感じたことを書きます
・現在ASVを使用中の患者さんが、もし当ブログを読まれている場合
まずは、主治医にご確認下さい。
・私もASVの設定に携わっているので、ASVは肯定派です。
・でも、ASVはちょっと急激に出荷数が増えすぎたのではと感じています
で、今の時点で企業のHP
帝人在宅医療
http://medical.teijin-pharma.co.jp/notice/fcn28e0000001mzj.html
フクダ電子株式会社
http://www.fukuda.co.jp/medical/notice150605.pdf
以下 私見なので、あしからず・・・
2015年5月13日付でRESMED CorporateよりSERVE-HF臨床試験中間報告がありました。注意をしたいのは、これが「中間報告」であることです。
そもそも SERVE-HF臨床試験とは何か?RESMEDの発表資料をみると
・ 多国籍、多施設によるランダム化比較によるフェーズⅣ試験
・中枢性優位の睡眠時無呼吸を伴う慢性心不全(左室駆出率45%以下)
この患者さんに対してASVを使用した場合、死亡率および罹患率が低下するかどうかを評価するための臨床試験
ASVの設定は、初期設定でEEP/EPAP 5 PSmin 3 PSmax 10 。閉塞性イベントの場合は、EEP/EPAPを上気道の閉塞が解消する圧力に上昇させる。PSは主に変更させず、変更する場合は、注意深く考察した後に変更する。(詳しくは、スタディを参照)
中間報告を私なりに要約すると
・全体でみると死亡率や心不全悪化による入院といった主なエンドポイントでは、ASV治療群とASV治療を行わないコントロール群の間で統計的な有意差はみられなかった。
・ 心血管疾患による死亡リスクが増加してる「リスク対象」がみつかった
・リスク対象は、慢性心不全患者(NYHA Ⅱ-Ⅳ、LVEF≦45%)であり、かつ、中枢性優位な無呼吸症候群(AHI≧15、CAHI≧50%、CAI≧10)
・対処法として、リスク対象に該当する患者さんへのASVは「考慮」のうえ、導入の中断、継続を臨床上判断して下さい
まだ分からないことが多い(^^;
死亡率や心不全悪化による主要エンドポイントに有意差はないが、リスク対象者では、死亡率が増加することがあるということのか?
そもそも、今回のプロトコールは、対象患者さんがLVEF45以下となっています。多国、多施設での患者さんの数がどの程度だったのか?
サブ解析で、軽症例では有意差が出たのか?(このスタディの場合、軽症例が無いのかもしれませんが)
LVEFが低い患者さんにASVの陽圧は、循環環流を抑制して、さらに心負荷をかけてしまうのでしょうか? 今回のプロトコルでは、初期設定ではそれほど高い圧力を加えているとは思えないのですが。
今後の報告を待ちたいと思います。
APSS2015に参加してきました。
返信削除緊急Sympineinが開催され各国からかなりの参加者がいました。
会場からの質問でMortalityの見極めの質問がありましたが、
Mortality以前に、Treatment=Death回答していました。
また、Treatment Continueなら、「Good Luck」と言い、会場が少し騒然と
していました。
追伸:日本の「SAVIOR-C」は、読まれておりますでしょうか?
https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr.cgi?function=brows&action=brows&type=summary&recptno=R000007761&language=J
通り人より
追記:
返信削除http://www.m3.com/clinical/news/331473
ご参考までに・・・
既知と存じますが、
Transmural Pressure(上昇)≒ 心室後負荷の増大ですので
CSASの人の場合は、気道閉塞が重症でない場合陽圧が気道にかからずに
肺胞まで到達し、胸腔内圧が増しEFに影響が有ると考えられています。
通り人
通り人さん
削除貴重なコメントを頂きながら、返信が遅くなり申し訳ございません。
SAVIOR-Cは見ています。そのため、SERVE-HFと異なる結果が出て臨床現場が混乱するのではないかと思っています。
今の所、各メーカや各学会がコメントを出したことから、大きな混乱にならないと思いますが・・・
既にASVを使用している患者さんで、突然死のリスクファクターに該当する場合、ASVを継続するのか、中止するのか。これからの情報開示を待ちたいと思います。
>Transmural Pressure(上昇)≒ 心室後負荷の増大ですので
>CSASの人の場合は、気道閉塞が重症でない場合陽圧が気道にかからずに
>肺胞まで到達し、胸腔内圧が増しEFに影響が有ると考えられています
この場合、ASVでは突然死の可能性が否定できなくなるわけですが・・・
既に薬物療法が十分にされているケースにおいて、ASV以外の選択枝はHOT、CPAP、NPPV。
NPPVはASVに近いことから、実質、HOTかCPAP。CPAPは圧力が高いと、結局 Transmural Pressure≒ 心室後負荷になることから、選択肢はHOTのみ・・・となってしまうのでしょうか。
ASVが臨床現場に出た時は、凄い機械が出てきた!!と思いました。それと同時に、対象疾患が多いとは思えない中で、ASVが使用される割合が多い話を聞くたびに、「出過ぎかな」と感じていました。
今回のSERVE-HFは、ASVの適正な利用を促す重要な試験だと感じました。それと同時に、どうしてもASVが必要で、リスクファクターが高い症例も存在すると感じました。
通り人さん この度はAPSS2015での情報を含め、貴重なご意見ありがとうございます。
当ブログでは引き続き、ASVに関しての情報を発信して行きたいと思います。
時折、更新をお休みしたり、コメントへの返信が遅れますが(^^;
今後もご意見頂ければ幸甚です。