2026年3月8日

【2026年改定】在宅高濃度酸素ハイフローセラピーが拓く「家で過ごす」という新しい選択肢

 2026年3月5日(木)に令和8年度の診療報酬改定の詳細がアップされました。今回の改定は、在宅療養を望む患者さんにとって、大きなインパクトを持つ内容が含まれています。

なかでも注目したいのが、新設された「在宅ハイフローセラピー指導管理料2」です。



1. 「2,400点」に込められた期待と重み

今回の改定で、在宅ハイフローセラピーの評価が二極化されました。

  • 従来の管理料(1): 2,400点。対象は、COPDの患者さん。

  • 新設の管理料(2): 2,400点という高い点数が設定された、重度患者さん向けの評価。

この点数の高さは、国が「重症であっても、適切な管理下であれば在宅復帰を強力に推進する」という意思表示と考えることができます。

2. 対象となるのは「FiO2 60%以上」の重症層

これまでは、高い酸素濃度を必要とする患者さんの在宅移行は、技術的・経済的、そして何より安全性の面で非常に高いハードルがありました。今回の「管理料2」の対象者は以下のように定義されています。

  • 間質性肺炎、ARDS、重症肺炎などの呼吸器疾患であること。

  • 入院中に適切な治療を行ってもなお、常時、吸入酸素濃度(FiO2)60%以上を必要とする重度の低酸素血症が持続していること。

  • 入院中に機器の導入が行われ、在宅での継続を希望されていること。

つまり、「低流量の酸素濃縮器では足りない、あるいは従来のHOT(在宅酸素療法)では維持が難しい」という方々に、道が開かれたのです。

3. 臨床工学技士(CE)として見逃せないポイント

この治療を在宅で行うには、機器の信頼性とご家族の理解が不可欠です。私たちCEの出番は、これまで以上に重要になります。

  • 導入時のトリアージ: 病院から在宅へ切り替える際、設定値が生活環境で維持できるか、回路の結露対策は万全かなど、技術的な視点での調整が欠かせません。医師をはじめ、多職種連携が求められます。FiO2 60%以上を在宅で維持するために、機器の流量を下げるのか?濃縮装置を大型化させるのか? 今の時点では、なんとも情報がありません。

  • 安全管理の徹底: FiO2 60%以上という高濃度酸素を扱うため、火気厳禁の指導はもちろん、停電時の対応についても事前相談が必要となります。

  • 遠隔モニタリングの活用?: 今回の改定ではICTの活用も評価されています。患者さんの使用状況をリアルタイムで把握し、トラブルを未然に防ぐ体制づくりが求められます。
    とはいえ、 酸素濃縮装置には遠隔モニタリングできる機種が増えていますが、HFNC専用器で通信搭載している機種って、、、未だ無い?

おわりに:「病院でしかできない」を過去にする

「こんなに酸素が必要なのに、家になんて帰れない……」 そんな風に諦めていた患者さんやご家族にとって、今回の改定は大きな希望の光です。

もちろん、管理のハードルは高いですが、私たち専門職がチーム一丸となってサポートすることで、「重症でも家で大切な時間を過ごす」という選択肢を当たり前にしていきたい。2026年のリスタートにあたり、改めてそう強く感じています。


引用・参照元: 厚生労働省:令和8年度診療報酬改定資料「Ⅲ-1 患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価-3 在宅ハイフローセラピー指導管理料の見直し」


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